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建築の一大特色は、それが必ずある一定の建築様式をもっているということです。他の芸術にも様式性はあるものですが,それらが個人やグループの個性に多くを依存しているのに対して、建築においては、個性よりも同時代・同地域の他の建築物との共通点のほうが強く現れます。
これは、第1に建築が用途や目的をもち、風雪や時の流れに耐えねばならない実用品であること。
第2に大規模で重量があり、重力や風力・地震力、あるいは攻撃力のような大きな物理的な外力に耐えなければならない構造物であること。
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そして、以上の要求を満たしたうえで、しかも見苦しくなく、できれば美しく、なるべく意味深い形態をもつ象徴物でありたいこと。
という三つの条件を満足させなければならないことに関係しています。
古来、建物を建てる人々は財力や入手し得る材料、技術や労働力が許す限り、これらを同時に達成する方法を考えてきました。
上記の4条件に、風土・気候・宗教・政治・社会体制・時代思潮・風俗や流行などの要因が、それぞれの個別的条件とからみ合って、地域と時代と建物種別に最も適合した構造法と形態と装飾の共通項をつくり出しました。
<これが様式です>
様式はこの意味で,建築の生活に対する適合性と妥当性を保証するしるしであるとともに、その時代や地域が文化的に、また人間的に統一された目標をもっていたことを示す標識であるともいえます。 |
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